メンタルサポート

■ 農作業がメンタルに及ぼす効果について □

皆さま。こんにちは。
心理カウンセラーの小高千枝です。
私はハレニワ農園における農作業体験を通じての
メンタルヘルスケア・プログラムを担当させて頂きました。

現代の社会構造でメンタルヘルス不全者が増加している現状と、
打開するための農作業の在り方につきまして以下にご紹介をさせて頂きます。

現代の日本は『メンタルヘルス不全』『うつ』を生み出す社会構造が問題となっております。
精神疾患により医療機関にかかっている患者数は近年、大幅に増加しており
平成20年には323万人にのぼっております。

うつ病、統合失調症、不安障害などが多く、近年においては
うつ病や認知症などの著しい増加がみられます。


うつ病患者が増える社会構造

■情報化社会の盲点

情報化社会の中で日本社会が変容し『個』を尊重した文化を作り上げるための
影響が『孤独』という形へも繋がる傾向が出て来ています。

多くの情報が溢れ、その情報に翻弄され、主体性を見失うことで自己承認をする力が弱まり
物事に対する認識が浅く、自己喪失感、自己否定感が強い人が増えています。

また、成果主義の競争を繰り返すことにより周囲との調和がとれず
集団志向の強い日本人の気質に合わない問題も出てきております。


■女性に多いうつ病

世界的にみて比率としても男性の倍、女性はうつ病にかかりやすいと言われています。
女性の社会進出による影響などから家事・育児などとの両立に
負担がかかっている現状や現代の日本においては、
女性が活躍するにあたり努力が報われない点が多々あるために
精神的負担感から追い詰められる傾向も否めません。

また、性ホルモンの影響も強く、女性ホルモンのエストロゲンなどが減少
(月経前、出産直後、睡眠不足、疲労など)が影響しホルモンバランスを崩すことで
抑うつ感や不安感に襲われることもあります。


ストレスがかかることによっての健康障害について

<身体的反応>

肩こり、倦怠感、疲労感、頭痛、めまい、睡眠障害、食欲不振、下痢など

<行動反応>

飲酒、喫煙、過食、ギャンブル、人・仕事などでのトラブルなど

<心理的反応>

不安、緊張、過敏、焦燥、抑うつ、気力、意欲の減退など


農作業プログラムの目的

座学では学ぶ事の出来ない非日常の自然、農業体験を効果的に組み合わせてプログラムを進めます。
ストレスの軽減、人材の活力を高ることなどから『セルフコントロール』と『メンタルタフネス』を身につけることに繋がります。


農作業の効果

■土壌と「うつ病」の関係

土壌に生息するバクテリアの一種に抗うつ剤と同じ効果があるという研究結果が報告されています。

このバクテリアは免疫力を活性化し、幸福感や物事をポジティブに捉えることに繋がる
脳内物質のセロトニンを放出する手助けをするといわれており、
このバクテリアを用いた治療を受けたがん患者の症状が軽くなり精神状態もよくなり、
認知能力も向上したという調査結果も出ています。


■五感を通して心理にもたらす効果

五感を刺激することで脳の働きが活性化され、免疫力が高まり
ストレスに対して抵抗力がつくと言われてます。

●視覚

色鮮やかな野菜を見ることでの色彩心理の効果。
気分の高まり、意欲の向上、沈静、ゆとりなど感情や行動に
色は顕在・潜在意識の両レベルで思考に作用する。

●触覚

土や自然に自分の手で触れることで土の温度を感じ、
無になる事でより自然な心理状態を導き出す。
肌さわりのいい、安全な土に心が癒され無になり言葉では表現しにくい心の根底で感じていることを引き出す効果がある。

●嗅覚

人間の感覚の中で一番原始的感覚と言われている嗅覚は持続的、底辺感情への効果が大きく芳香療法として心理効果や生理効果がある。
・心理効果 ⇒ リラックス、作業効率の向上、疲労感の軽減
・生理効果 ⇒ 沈静効果、高揚効果、交感神経・副交感神経の調節、
ストレス応答の調節、自然免疫機能の調節

●聴覚

風、鳥、動物の鳴き声など自然の音(1/fのゆらぎ効果)が心のリラックス度を高めカタルシス効果(浄化効果)として精神の安定につなげることが出来る。

●味覚

メンタルヘルス不全に陥ると食生活が不規則になる傾向があるため自ら育てた野菜を収穫することでの自己実現意識の高まりと野菜を食べることで心身ともに満足感を得られる効果が期待できる。


■自己肯定力の高まりと対人関係の克服

メンタルヘルス不全に陥る一つの要因として対人関係への抵抗感も影響してくる。
そのため「生きているもの」との向き合いとして野菜や果物の存在が大切になってくる。
生きているものを育てる責任感、苦労を経験し長期的に携わることで忍耐力がつき収穫の喜びを味わう。
また、自分の力で育てた自己実現、自己承認、自己肯定力を強める効果に繋げることが出来る。

また、継続的に仲間と作業をするため人に対する信頼感が生まれ意見を出し合うこと、助け合うことで仲間意識が芽生えコミュニケーション力が身につき集団の中での生きる術を知ることが出来る。

また、個人の力では達成できない作業を経験することで視野が広がり価値観の偏りを緩和させることも出来る。


■人としての感情を取り戻す効果

季節や天候、野菜などの種類によって作業の流れは変わってくる。
愛情を注ぐ事で成長が結果としてあらわれるため、報われないマイナスの感情なども解消することが出来る。
また、自然との向き合いにより思い通りにならないこともあることも受け入れ。
本来、人間の本能として自然と表現するべき感情が自然と出てくるようになり感情を取り戻し、表現するきっかけにもなる。


■身体的効果

日常よりも活動量が増えることで心身ともに満足感を得られ、健康的な身体作りにも繋がる。
太陽の光を浴びながら、自然の中で作業をすることは開放的な気分になる。
また、太陽の光と一定の作業をする効果として脳内物質のセロトニンが増え、精神安定を導き出す。

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